マツ

クロマツ科 クロマツ

マツ

樹の性質・種類

樹皮は、灰黒色をしており、葉は濃緑の常緑針葉高木。たくましく男性的な姿をしているところから「雄マツ」とも呼ばれる。

樹脂が多く、幹や枝の曲げに強いので、苗木のうちから幹を曲げながら枝を作っていくと、無理なく仕立てられる。

成長が遅いので、3メートルくらいの庭木に仕立てるには、15年ぐらいかかる。

樹形

幹をまっすぐ伸ばす直幹仕立てと、幹を曲げる曲幹仕立てがある。また、主幹より主枝を長くした流枝仕立てがあり、さらに片枝の枝だけを長くした片流枝仕立てがある。

植える時期

一般的に2月中旬から4月下旬までが適期。マツクイムシは、夏から秋にかけて多く発生し、樹勢の弱い木から被害を受けていく傾向がある。

春先に植えると、夏までには樹勢が回復するので、マツクイムシからの被害を避けることができる。

また、活動していない寒いうちのほうが、曲げやすいので、樹形を作りやすいという利点もある。

植える場所

クロマツの自生地は、海抜の低い海岸地帯。潮風に強く、大気汚染に対しても抵抗力がある。日当たりの良い乾燥地が適地で通気性、排水性の良い場所だ。

剪定の時期

4~6月中旬と12月頃。

整枝・剪定方法

剪定の基本は、混み枝を落とし、通風・採光をよくしてやること。春はみどり摘みで新梢を切り、古葉を半分ぐらい摘み、秋はもみ上げて、残りの古葉を摘みとる。

肥料

鶏糞、油かす、堆肥、草木灰をスコップ1~2杯、寒期に地表に施肥する。

病害虫対策

6~9月にハダニが発生する。発生時にジメトエート乳剤の1000倍液を散布する。また、3~9月にシンクイムシが発生する。

発生前にディプテレックス乳剤の800倍液を予防散布する。

マキ

マキ科 マキ類 槙

マキ

樹の性質・種類

庭木にされるのはイヌマキかラカンマキで、同じように扱われる。

関東南部以南に自生する常緑針葉高木で、マツと並ぶ代表的な庭木だが、マツより寒さにやや弱いのが欠点。

しかし、仕立て後の管理は、マツよりははるかに容易なので、樹形さえ仕立て上げてしまえば、後は楽なのが利点だ。

樹形

直幹、曲幹の散らし玉仕立て、円柱形仕立て、生垣仕立てなど。

植える時期

春や秋の植木市が、各地で開かれるころにも盛んに移植されているが、気温の少し上がった5~6月頃が適期。

植える場所

耐陰性はあるが、なるべく日当たりの良い、冬、風の直接当たらない場所を選ぶ。また、植え穴は深めに掘り下げ、少し埋め戻してから植えつける。

剪定の時期

一般的には、年一回、夏に枝が伸びきった頃に行うが、その後も樹形が崩れないように、伸びた枝を随時刈り込む。しかし、剪定後伸びた新梢が、寒さにあうと傷められるので、9月以降は中止する。

整枝・剪定方法

整枝は、苗の大小に関係なく4月に行う。曲げる挿枝が太い場合は、割りノミを4~8ヵ所ぐらい入れ、ワラ縄で巻く。

曲幹にする場合は、若い苗木の幹をゆるやかな螺旋状に曲げ、支柱に直接固定する。各枝は、シュロ縄で形よく下方に引き、幹に固定しておく。

2~3メートルぐらいの苗木なら、6~7年ぐらいで樹形が整っていく。剪定は、基本樹形に沿って刈り込むが、太い新梢は少し深めに切り詰めておく。

枝のどこを切っても、翌春にはそこから新芽が吹いてくるので、心配はない。古葉は、ほうっておいても枯れて散るが、害虫などのついた枝や込み合っている枝は、切り取っってやる。

肥料

枝葉を充実させるため、1~2月に根の周囲を少し掘り、堆肥か油かすなどをスコップ1~2杯寒肥として施す。また、晩夏~初秋にリン酸やカリ分を含む粒状化成肥料を、1株に3杯ほど追肥すると良い。

病害虫対策

夏にはハマキムシが発生するので、月に数回スミチオン乳剤1000倍液を散布する。

イブキ

ヒノキ科 イブキ類

イブキ

樹の性質・種類

関西方面に多い樹だったが、現在では関東でもよく庭木として使われている常緑針葉樹だ。仲間にはカイヅカイブキ、タマイブキ、ハイビャクシンがあり、ミヤマビャクシン(シンパク)は盆栽として人気がある。

樹形

カイヅカイブキは、円錐型など縦長に仕立て、玉イブキは、球状または玉仕立てにする。

植える時期

3~4月の発芽前が適期。

植える場所

本来が砂れき地に自生する木なので、日当たりが良く、肥沃でやや砂の多い乾燥気味の場所を好む。耐寒性はあるが、周年風の当たる場所は、葉を傷める原因になるので避ける。

剪定の時期

新梢の伸び終わった7月と、成育停止時の11月以降の二回は最低限必要。できれば年に3~4回、伸びたら随時行う。

整枝・剪定方法

強い剪定は、枝枯れの原因になるので、樹形をそこねるほど枝を長く伸ばさないようにする。また、円錐仕立ては、内側を剪定して外芽を伸ばし、紡錘形仕立ては外側を選定して、内芽を伸ばすのがコツ。

肥料

根元の周りを少し掘り、冬季に堆肥や鶏糞をスコップ1~2杯施し、石灰を与えるとよく育つ。肥料が不足すると、下枝が枯れる原因になる。

病害虫対策

夏にハダニが発生するので、ジメトエート乳剤の1000倍液を散布し、サビ病がでたらポリオキシンAL水和剤の2000倍液を散布する。