カエデ科 カエデ(モミジ) 楓
樹の性質・種類
ほぼ日本全国に分布する落葉広葉高木で、大きな葉に特徴がある。秋の紅葉の美しさで知られているが、空気中の湿度が高く、日中と夜間との温度差の大きいところほど、紅葉の色づきは美しくなる。
また、種類も多く、幹がまっすぐ立ち上がる種と、斜め上に伸びる種などがあり、さらに観賞園芸品種には、しだれ枝をしている品種まである。
萌芽力が強く、強い剪定にも耐えるが、太い枝を切ると傷の残ることがある。
樹形
自然樹形を楽しむのが基本なので、あまり手を加えない方が優美だろう。自然形仕立てか株立ち仕立てにする。
植える時期
落葉中の2~3月が適期。少し大きな木を移植するときは、前年の4月中旬~5月中旬までに根回しをしておくと、地上部と根とのバランスをとるための枝切りをあまりしなくても済む。
なお、大きい成木を移植したいときは、その年の皮焼けを防ぐために、ワラかコモで枝巻きをする必要がある。
植える場所
カエデは保水性がよく、日当たりの良い肥沃地を好む。秋の紅葉を楽しむなら、日中は日当たりが良く、通風があり夜間急速に気温の下がる場所が最適。
半日陰にも耐えるが、紅葉の色づきは悪くなる。この場合は新芽から紅葉する品種や斑入り葉の美しい品種を選んで植えると良い。
植え穴を根鉢より大きめに掘り、堆肥や鶏糞をたっぷりすき込み、20センチぐらい埋め戻したら水をたっぷり注ぎ、その上に植え込む。
根が活着するまで、特に乾燥を嫌うので、水やりを多くすると良い。
剪定の時期
12~2月の寒気と、5~6月の春先に行う。
整枝・剪定方法
萌芽力はあるが、不定芽は出にくいので樹形が崩れないように注意する。葉の元に液芽があり、剪定後はこれが伸びてくる。
若木は強い徒長枝がでやすいので、見つけ次第切除する。太枝を切ると木を傷めやすいので、不要な枝は太くなるまで放置しないことが大切。
刈り込みはできるだけ避けて、不要な枝は枝抜きして、自然な姿を損なわないようにするのが、整姿のコツ。
また、小枝を多くしたいときは、5~6月に新梢を切ると再萌芽する性質があるので、増やしたい枝の先を選定する。
肥料
2月に根元の直径の4~5倍くらいに幹から離し、鶏糞、油粕、少量の化成肥料などを寒肥として与える。特に剪定をよくする木は弱りやすいので、毎年寒肥をして樹勢を保つように心がける。
病害虫対策
うどんこ病がでたら、ベントレート水和剤1000倍液を散布する。夏の乾燥時にはアブラムシ、カイガラムシが発生しやすいので、スミチオン、ジメトエート乳剤などの1000倍液散布して防除する。
幹に入り、中を食い荒らすテッポウムシがついたときは、マラソン乳剤1000倍液を穴に注ぎ入れて殺虫する。