シラカバ

カバノキ科 シラカバ 白樺

シラカバ

樹の性質・種類

北海道や本州の高原地帯に自生分布する落葉高木。涼しげな緑の葉と真っ白な樹皮の対比が美しく、夏の高原で人気のある木だ。

あまり太くならず、直立する性質があり、関東地方の平地でも育てることはできるが、長くもって10~20年の寿命とされる。

特徴のある樹皮は白褐色で、古くなると自然に薄く横に剥がれ、下から真っ白な新しい樹肌が現れる。樹皮の白さは、寒い地方ほどよく出てくる。

樹形

自然樹形に仕立てる。

植える時期

2~3月が適期。秋に移植すると冬枯れをおこし、4月以降だと葉の成育と根とのバランスをくずし枯れてしまう。

植える場所

暑さに弱い樹だが、日当たりを好む。日陰になるとすぐに枯れこんで樹形が悪くなるので注意しよう。また、浅根性で、しかも根が乾燥するのを嫌う。

表土が乾燥しないように下草を植えるなどの工夫が必要だ。庭木としては、和風より洋風によく調和するので、洋風庭園に植えるとよい。

剪定の時期

落葉中の11月~2月

整枝・剪定方法

自然樹形を観賞する樹。芽吹きが弱いので、下手に途中で枝を切ると枯れこむ恐れがある。

しかし、日当たりに敏感でふところ枝が混雑して日陰になると、すぐ枯れてしまうので、適当に間引き剪定をする必要がある。

枝を切るときは、必ず付け根から切る。また、幹や枝の先端が強く伸びる性質があるので、あまり大きくしたくないときには、新梢を早めに切り詰める。

肥料

2月に堆肥、牛糞などを根のまわりにスコップ1~2杯与える。

病害虫対策

シラカバは、テッポウムシの食害に弱いので、見つけ出し、虫穴を探してスミチオン乳剤を土で練って注入する。

シダレヤナギ

ヤナギ科 シダレヤナギ 枝垂柳

シダレヤナギ

樹の性質・種類

高さ7~8メートルの主幹が直立し、新緑の頃、若枝がいく筋も垂れ下がる特異な樹形を示す。

ヤナギの種類は数多くあるが、一般的にヤナギといえば、このシダレヤナギを指している。

個体差が大きく、枝があまり垂れないものもあるので、苗木を選ぶときは、できるだけ枝垂れの長い木を探すと良い。

樹形

特徴のある樹形を生かした枝たれ形仕立てにする。

植える時期

落葉期の11月~4月が適期。

植える場所

日当たりの良い肥沃な地で、湿潤地が最適だが、樹勢が強いので、大抵の土質で育つ。

剪定の時期

落葉期の2月と台風前の8月。

整枝・剪定方法

冬季に剪定して下枝を落とし、芯を止めて樹形を作り、夏季剪定では、混みすぎた枝を整理し、台風に備える。

垂れ枝を10本前後残し、他の枝は全部間引きするとよい。定植の場所に合わせ、樹高3~7メートルにする。

肥料

とくに必要ない。

病害虫対策

新梢にアブラムシ、ハムシ、カミキリムシなどが発生して食害することがある。オルトラン乳剤1000倍液などで駆除し、うどんこ病にはトップジンM水和剤1000倍液を散布する。

カエデ

カエデ科 カエデ(モミジ) 楓

カエデ

樹の性質・種類

ほぼ日本全国に分布する落葉広葉高木で、大きな葉に特徴がある。秋の紅葉の美しさで知られているが、空気中の湿度が高く、日中と夜間との温度差の大きいところほど、紅葉の色づきは美しくなる。

また、種類も多く、幹がまっすぐ立ち上がる種と、斜め上に伸びる種などがあり、さらに観賞園芸品種には、しだれ枝をしている品種まである。

萌芽力が強く、強い剪定にも耐えるが、太い枝を切ると傷の残ることがある。

樹形

自然樹形を楽しむのが基本なので、あまり手を加えない方が優美だろう。自然形仕立てか株立ち仕立てにする。

植える時期

落葉中の2~3月が適期。少し大きな木を移植するときは、前年の4月中旬~5月中旬までに根回しをしておくと、地上部と根とのバランスをとるための枝切りをあまりしなくても済む。

なお、大きい成木を移植したいときは、その年の皮焼けを防ぐために、ワラかコモで枝巻きをする必要がある。

植える場所

カエデは保水性がよく、日当たりの良い肥沃地を好む。秋の紅葉を楽しむなら、日中は日当たりが良く、通風があり夜間急速に気温の下がる場所が最適。

半日陰にも耐えるが、紅葉の色づきは悪くなる。この場合は新芽から紅葉する品種や斑入り葉の美しい品種を選んで植えると良い。

植え穴を根鉢より大きめに掘り、堆肥や鶏糞をたっぷりすき込み、20センチぐらい埋め戻したら水をたっぷり注ぎ、その上に植え込む。

根が活着するまで、特に乾燥を嫌うので、水やりを多くすると良い。

剪定の時期

12~2月の寒気と、5~6月の春先に行う。

整枝・剪定方法

萌芽力はあるが、不定芽は出にくいので樹形が崩れないように注意する。葉の元に液芽があり、剪定後はこれが伸びてくる。

若木は強い徒長枝がでやすいので、見つけ次第切除する。太枝を切ると木を傷めやすいので、不要な枝は太くなるまで放置しないことが大切。

刈り込みはできるだけ避けて、不要な枝は枝抜きして、自然な姿を損なわないようにするのが、整姿のコツ。

また、小枝を多くしたいときは、5~6月に新梢を切ると再萌芽する性質があるので、増やしたい枝の先を選定する。

肥料

2月に根元の直径の4~5倍くらいに幹から離し、鶏糞、油粕、少量の化成肥料などを寒肥として与える。特に剪定をよくする木は弱りやすいので、毎年寒肥をして樹勢を保つように心がける。

病害虫対策

うどんこ病がでたら、ベントレート水和剤1000倍液を散布する。夏の乾燥時にはアブラムシ、カイガラムシが発生しやすいので、スミチオン、ジメトエート乳剤などの1000倍液散布して防除する。

幹に入り、中を食い荒らすテッポウムシがついたときは、マラソン乳剤1000倍液を穴に注ぎ入れて殺虫する。

イチョウ

イチョウ科 イチョウ 銀杏

イチョウ

樹の性質・種類

中国原産の落葉広葉高木で、樹高20メートル以上にまで育つ。一科一属一種で古代植物の一種。雄雌異体で、秋になると雌株にはギンナンと呼ばれ親しまれている実が付く。

秋の黄葉の美しさは風景画のテーマになるほどだが、春の新緑の葉も美しいものだ。

樹形

自然な円錐形が最も美しいものだが、広い場所が必要なので、どこでもというわけにはいかない。家の庭では段作り、直幹散らし玉などに仕立てるのが一般的。

植える時期

3~4月上旬の落葉中が適期。

植える場所

日当たりのよい肥沃な地が適地で、土質にはあまり影響されない。

剪定の時期

枝の刈り込みは、2~3月と11月がよい。

整枝・剪定方法

仕立ては2~3月に行い、萌芽後は避けたほうが安心。

自然樹形は、ひこばえや胴吹きを切り取るぐらいで、段作りなどの場合も枝葉の多いほうが成育がよいので、目的以上の高さになるまで、枝を落とさないで育てるようにしよう。

肥料

土地がやせている場合、1~2月に堆肥、鶏糞などをスコップ1~2杯与える。

病害虫対策

クスサンという蛾の幼虫が大量発生することがある。放置すると葉を食い荒らしてしまうので、見つけ次第DDVP剤800倍液で駆除するようにする。

アオギリ

アオギリ科 アオギリ 青桐

アオギリ

樹の性質・種類

中国原産で暖地性の落葉広葉高木。葉がキリに似ていて幹が緑色をしているところからアオギリの名が付けられた。

夏は大きな葉が日陰をつくり、冬には葉を落として日がよく当たるようになるので、西日の当たる窓の外などに緑陰樹として利用されている。

樹形

自然の樹形に仕立てるのが基本だが、樹勢が強く萌芽力もあるので、植えてある場所の広さに合わせて切り詰めるとよい。

植える時期

寒さに弱いので、暖かくなる4~5月が適期。

植える場所

日当たり、水はけの良い場所なら土質をあまり選ばない。植えつけるとき、根を少し乾かすぐらいのほうがよく活着するので、水を使わないことがコツ。

剪定の時期

冬の落葉期だが、寒い地方では3~4月の萌芽直前を目安に行う。

整枝・剪定方法

自然に放置すると庭木としては大きくなりすぎるので、樹高3~4メートルで芯を止め、枝先も切り詰める。浅根性で風に弱いので伸びすぎた枝は台風剪定をする。

肥料

2~3月に油粕を与える。

病害虫対策

葉によくハマキムシがつくので、オルトラン乳剤の1000倍液を散布する。樹体には、テッポウムシが入りやすいので、カルホス乳剤の1000倍液を散布する。