植え付けと根回し

新緑

移植は、現在成育している樹木を、他へ植え替えて成育させるので、適切な方法で行わないと枯らしてしまう原因になる。

その樹木の特性や性質に合った時期を選んで植えつければ活着しやすく、また、その後の成育も順調にいきやすい。

やむを得ず不適切に移植したものは、どうしても無理があるので、事前の根回しなどをうまくやっておかないと、活着しにくくなる。

植物は、根から水分や養分を補給しているが、移植はどうしてもその根を損傷することになるので、回復しやすい時期を選び、地上部を切り詰めるなどの作業が不可欠だ。

針葉樹の移植の適期

一般に寒暖に強い樹木が多いので、比較的移植しやすいといえる。地方差があるが、標準的には三~四月と九~十一月が適期で、虫害を避けるマツは十二月~二月だ。

常緑広葉樹の適期

本来は温帯に多い樹木なので寒さに弱い。六月上旬から七月中旬ぐらいまでが適期。目安としては新梢の充実した頃から固まるまでのあたり。

落葉広葉樹

寒さに強く落葉期が適期だが、樹木によって落葉直後がいいか、春がいいかの違いがある。また、東京付近でのウメやバラなどのように一月~二月の厳寒期が適している樹種もある。

根回し

活着の良い木を適期に移植すれば、成功する確立は高くなるが、根の粗い樹主は移植を嫌うので、あらかじめ根を十分に作っておいてやらないと、適期であっても移植に失敗する。

この根作りが根回し、木の大きさや種類によっても違うが、数ヶ月から一年ぐらい前に根の一部を切っておき、切り口から新しい細根を出させ、根からの養分や水分の吸収をよくしておく。

一般に家庭で移植できる木の高さは二~三メートルが限界で、それ以上だと根の広さや深さが大きくなるので、専門家でないと扱いきれない。

移植するため堀上げた根と土は根鉢というが、根鉢が大きいと扱いにくくなり、小さすぎると弱ってしまう。根の性質に合わせて、根鉢の大きさを決めよう。

堀り上げ

根回しで発生した細根が大切なので、細根が保持している土を崩さないように、ひと回り大きく掘る。掘り上げたら、細根を傷めないように注意しながら根巻きをし、根と土を固定させる。

根巻きの方法はいろいろあるが、要は根鉢の土を崩さないように保護すればいいので、小さい根鉢はワラ束で、大きい根鉢はコモなどで包み、外からワラ縄でしっかり巻き締め、幹にからませて固定してやる。

定植

植え穴は、根鉢よりやや大きめに掘るが、深さは元の成育状態より深植えにならないように調整する。元肥と土を下に入れて上部が地上とうまく揃うようにする。

梅雨時などなら、根巻きした縄などは自然と腐敗するので、そのままでもかまわないが、冬季なら取り外しておこう。