樹木各部の働き
自分の庭を、全てプロの植木屋さんに任せるという人もいるだろうが、それでは庭木の楽しみを半分しか味わってないといえるだろう。
自分の好きな樹木を自分の好きなように育て、はじめて庭木の楽しさを満喫できるというもの。
庭木は生き物だから、順調に生育させるためには、それなりの時間と労力をかけてやらなければならない。
しかし、手間をかけてやればそれなりの成果があるから、そこがまた庭木の楽しみの一つといえる。
庭木が順調に育っていくためには、いろいろな要素がからみあっているが、まず樹木の生理的なことの基礎知識が必要だ。
根の働き
根は樹木本体を支え、水や養分を吸収し、蓄積している。樹木により根が地中深くに伸びていく深根性のものと、地表近くを伸びていく浅根性のものとがある。
また、幼木のときは深根性で、成育すると浅根性に変化するものもある。
幹の働き
幹は、表皮と木質部、髄でできており、根から養分や水分を通す導管と、葉で生産される物質を移動する師管(ふるい)とがある。
先端部分には成長点があり、生育期には細胞分裂が盛んになり、上へ伸びていく。また、表皮の内側には形成層があり、成長点が上に伸びるのに対して、横に細胞を増やす性質がある。
枝の働き
庭木を育てるとき、最も大切な作業は、枝の整枝と剪定。これらの作業は、枝の成長期と密接な関係がある。庭木の枝は、一般に春に一回延びるが、夏にも出て二回伸びるものもある。
一回目の枝は節間のつまった良い枝の場合が多いが、二回目の枝は、いわゆる徒長枝と呼ばれる間延びした枝なので、多くは切り取る。
枝の生長は、一般的に30日間ぐらい。その後の30日間のうちに、翌年の芽ができあがる。
葉の働き
活動している植物の葉は、一般的に葉緑素を含んでいるので緑色をしている。この葉緑素が光と炭酸ガスを吸収し、水分を分解して炭水化物を合成する。
このときにできた酸素が放出され、同時に水分も蒸散している。また、夜間、光エネルギーの吸収ができないときは、酸素を吸収して炭酸ガスを放出している。
このように樹木にとって光は、成育に大切な要素だが、光が多ければ多いほど良いとは限らない。樹木によっては、日陰のほうを好む性質の種類もあるのだ。
日当たりが良くないと成育しない種類を「陽樹」といい、日陰のほうがよい種類を「陰樹」という。また、本来は陽樹だが、日陰でも成育できる耐陰性の強い樹木もある。
葉の表面には気孔があり、開いたり閉じたりして、水分の蒸散などをうまくコントロールしている。
主な陽樹
アカマツ、ウメ、キョウチクトウ、クロマツ、コデマリ、コブシ、ザクロ、サルスベリ、サンザシ、ソメイヨシノ、タギョウショウ、ハギ、マンサク、モモ、ヤマザクラ、ユキヤナギ、レンギョウ
主な陰樹
アオキ、アジサイ、アセビ、イチイ、イヌマキ、ウメモドキ、クチナシ、サザンカ、ジンチョウゲ、ヒイラギ、マンリョウ、モチノキ、ヤツデ