挿し木で増やす

雄松

枝、茎、新芽など、親木の一部を切り取って発根させるので、親木と同じ性質を受け継ぐことができる。また、種子まきで増やすより成長が早いので、それだけ短期間で成木になるのも利点の一つ。他の増やし方に比較して、初心者でも失敗が少ないという利点がある。しかし、全ての植物が挿し木できるわけではなく、ヤシ科などのように、挿し木のできない種類もあるから注意が必要だ。

挿し木の時期

植物によって発根しやすい時期が違うのでもっとも適した時期に行う必要がある。針葉樹・・・高温を嫌うので三月下旬の春先か、六月下旬~七月上旬の梅雨時期が適期。ただし、イブキ類だけは二月下旬のまだ寒い時期に発根剤を使用して行う。常緑広葉樹・・・四月の春ざし、六月下旬~七月上旬の梅雨挿し、九月頃の秋挿しができる。最適期は春~梅雨期で、秋挿しは発根率がやや低下する。落葉樹・・・三~四月上旬の若葉が出る前が適期。穂木は、前年に成育した中から充実したものを選ぶ。六月下旬~七月上旬の梅雨挿しもできるが、この時も枝をよく選び、春に出た若葉が成育し、枝としてすでに安定しているものを選ぶことが大切だ。

針葉樹の挿し木の方法

親木から穂木を採る→穂木から挿し穂をとる→用土を準備する→発根剤を付けて挿す→挿し床の管理→定植。

このような順序で針葉樹の挿し木は行うと良い。挿し木の時期は三月上旬~五月上旬まで。前年伸びた病害虫のない充実した枝を選び、穂木を採る。

スギ類を例にとると、挿し床用土は、底に赤玉土中粒をゴロ土として入れ、ミジン粉四、赤玉土小粒六の割合の混合土を使う。

定植は一般的に秋だが、スギ類は発根が遅いので、あまり成育のよくないときは、翌年にする。挿し床から苗木を出すときは、根を傷めないようにヘラですくい出す。

常緑樹の挿し木の方法

常緑樹の挿し木は、春先の四月上旬~初夏の七月中旬までが一般的。だが、種類によっては四月上旬~五月中旬にしかできないものもあるので注意する。

また、穂木をとるときは日中を避け、朝の七~十時か、夕方の五~六時にすると良い。

落葉樹の挿し木の方法

挿し木の時期は、二月下旬~七月上旬までだが、初春のまだ芽が出ていない時期か、初夏に入ってから、出た芽が充実した時期かにする。

前年に伸びた良い枝を穂木にとり、採ったらすぐ水につけておく。