イヌツゲ

モチノキ科 イヌツゲ 犬黄楊

イヌツゲ

樹の性質・種類

関東以南の山野に自生している常緑広葉中高木。枝が柔軟で葉が密集しているため曲げ物に仕立てやすいこともあり、庭木として多く利用されている。

イヌツゲはツゲ科のツゲとは別科の木だが、見た目や性質も似ており、同じように仕立てられる。

しかし、ツゲに比較してイヌツゲは耐寒性が強いので、ツゲが育たない関東以北でも庭木にすることができる。

イヌツゲの変種で、葉の丸くなるマメツゲは低木性なので、玉ものによく仕立てられる。

イヌツゲは生育期に上へ成長し、ある程度育つと横に広がる性質があるので、仕立てるときは、この性質を知っておくとよい。

樹形

庭木の中でイヌツゲほど自由に形を作ることができる木はない。

それだけに樹形も多く、直幹、曲幹仕立て、散らし玉仕立て、玉仕立て、球形仕立て、円筒仕立て、生垣にして上部をトピアリーにすることができる。

植える時期

根を整えてある植木屋さんのものだったら、関東以南なら春から秋までいつでも植えられるが、根の未整理な山堀り苗は、6月下旬~7月中旬でないと活着しにくいので、この期間に植えるようにする。

植える場所

日当たりの良い、肥沃な場所が適地。やせ地だと、葉が落ちてしまう。植え穴を大きめに掘り、堆肥を十分にすき込んでおく。

樹高のあるものは、支柱を立て風などで動かないように固定してやる。

剪定の時期

3~4月、6~7月、10~12月

整枝・剪定方法

樹勢が強く萌芽力も強いので、枝葉をあまり伸ばさないで、頻繁に刈り込んでやる。伸ばしすぎて樹形が崩れそうになったら、思い切って強く切り戻して新芽を吹かせ、仕立て直してやるとよい。

植え付け後、すぐにでも仕立て始められるが、できれば定植後1~2年育て、根をしっかり晴らせてからのほうが安全。

萌芽力の強い6~7月が仕立ての適期で、目的の樹形に合わせて整枝する。

肥料

株のまわりに浅い溝を掘り、堆肥、鶏糞、化成肥料などを年に2~3回、スコップ1~2杯すき込んでやる。

病害虫対策

ハマキムシが発生したらスミチオン乳剤の1000倍液を散布し、カイガラムシの予防に冬季マシン油乳剤の10倍液を散布する。