ヤツデ

ウコギ科 ヤツデ 八ツ手

ヤツデ

樹の性質・種類

株立ち性の常緑広葉低木で、大きな厚い葉が特徴。公害や病害にも強く、冬に白い穂状の美しい花を咲かせる。

庭木としては耐陰性の最も強い木なので、上手に使うと利用価値の高いものだ。斑入りの品種も多く、キモンヤツデ、シロヤツデなどがある。

樹形

樹の性質を生かして株立ち仕立てにする。

植える時期

4~9月と9~11月が適期

植える場所

日陰か半日陰で肥沃な湿地が適している。日当たりが良い乾燥地だと成育が悪くなる。

植え穴を根鉢より一回り大きく掘り、堆肥や腐葉土を十分にすきこみ、土中の湿度を保てるようにしておく。

剪定の時期

6~7月と10~11月に行う。

整枝・剪定方法

葉が大きいので、一枚一枚が樹形に影響する。込んでいるところや、広がりすぎているところのつりあいをうまくとる。古い枝は梅雨時期に根元から切って更新する。

また、大きくなりすぎたときも、梅雨時期に目的の大きさに切り戻すとよい。この時期ならどこで切っても新芽が萌芽する。

肥料

2~3月に鶏糞を一株あたり二握りくらい根元にばら撒いてやる。

病害虫対策

冬季に石灰硫黄合剤の10倍液を散布して予防し、乾燥期にカイガラムシが発生したら、カルホス乳剤1000倍液で駆除する。

モチノキ

モチノキ科 モチノキ 黐の木

モチノキ

樹の性質・種類

関西以西に自生する常緑広葉高木で、耐陰性、耐寒性があるが、本来は暖地性の木。樹皮から鳥もちを採取したところからモチノキの名がついた。

萌芽力が強く、葉は小ぶりで艶があり、4月に緑黄色の小花が群がるように咲く。また、雄雌異体で、10~11月には雌木に1cmぐらいの赤い球形の実をつける。

樹形

高木なので庭の主木にするときは、幹の太い大きな散らし玉仕立てなどが向いている。

また、3~5メートルの上部を丸くした円筒形もよく、枝が折れたり形にならなくなったら主枝を短く切除して、ずん胴仕立てにすると良いだろう。

植える時期

寒さを嫌うので、暖かくなった4月から9月までが適期だ。

植える場所

土質はとくに選ばないが、湿度の強い場所は避け、水はけの良い日当たりの良い場所か半日陰地を選ぶ。

植え穴は深めに掘って表土と深土を分けておき、深土を少し埋め戻した上に根鉢を入れ、深土をまわりに入れながら棒で突き固め、土ぎめにして植え付ける。

剪定の時期

5~6月、10~11月の年2回

整枝・剪定方法

4~5月に仕立て始める。若木のうちから強い剪定をすると幹が太らないので、枝先が上に向いて伸びていく間は、あまり剪定せず、徒長枝やふところ枝を切るぐらいにしておく。

成長するにつれて枝は横向きになっていくが、密生する枝を間引きし、重なり枝なども切ってやる。2.5メートルくらいになり、十分樹勢がついたら仕立てる。

剪定は、基本形にそって年2回刈り込むが、若木のうちは胴吹き枝が出やすいので、見つけ次第早めに切り捨てる。

また、小枝が密生してくるので、通風と内部の日当たりを良くするため、一年おきくらいに小枝を少しはぶいて整理してやるとよいだろう。

肥料

やせ地でもない限り、特に必要としないが、葉の茂りをよくしたいときなどは、寒肥を与えると効果的。堆肥、鶏糞、油粕、などを2月に根まわりを浅く掘ってスコップ1~2杯埋める。

病害虫対策

スス病を誘発するカイガラムシがつきやすいので、冬に石灰硫黄合剤の10倍液を散布し、5月下旬~6月中旬にスミチオン乳剤1000倍液を散布して駆除する。

また、ハマキムシは6~7月の発生日にスミチオン乳剤1000倍液で駆除し、ルビーロームシ、ツノロウムシは、幼虫発生期の6月中旬~7月中旬にオルトラン水和剤1000倍液などを散布すると効果的。

マサキ

ニシキギ科 マサキ 柾木

マサキ

樹の性質・種類

日本全国に分布する常緑広葉低木で、土質をあまり選ばず公害にも強い木だ。都市で生垣用に多く利用され、斑入りもある。

葉のふちが黄色いキンマサキ、葉のふちが白いギンマサキなどがある。

樹形

主として生垣に利用されるので、下部を地表近くまで下げる壁面仕立てにする。また、円筒形、円錐形に仕立てて列植する方法などもある。

植える時期

3~4月と9~10月が適期。

植える場所

水はけがよく、肥沃な土地を好む。細根が密生し樹勢の強い木だが、新梢の発生時に移植するときは、新葉を全部とってから植え付ける。

植え穴は根鉢よりも一回り大きく掘り、堆肥や腐葉土をすき込む。

剪定の時期

3~4月、6~7月、10~11月

整枝・剪定方法

成長の早い木だけに、裾があきやすい欠点がある。苗木のうちに上向きの枝を強めに切り戻し、下枝を多くするようにする。

ただし、夏以降に強い切り戻しをすると、日焼けを起こして枯れることがあるので注意する。

肥料

油粕と化成肥料を同量混ぜて、一株に2握り程度根元に寒肥を施す。

病害虫対策

新梢に発生するうどんこ病にはダイゼン1000倍液、シャクトリムシにはスミチオン1000倍液を発生初期に散布して駆除する。

また、6~7月にツノロウムシの幼虫が発生するので、オルトラン水和剤1000倍液を10日おきに2~3回散布する。

サンゴジュ

スイカズラ科 サンゴジュ 珊瑚樹

サンゴジュ

樹の性質・種類

房総以南で海岸近くの山野に自生する株立ち性の常緑広葉高木。大きめの葉は光沢があり密生する性質がある。

6月頃に白い穂状の花をつけ、秋には赤い艶のあるサンゴのような実を持つ。萌芽力が強く刈り込みや強い剪定にも耐えるが、ややもすると不整形になりやすい性質がある。

樹形

樹形が作りにくいので、自然に近い円錐形に仕立てる。また、生垣用に多く利用され、目隠し用、防風用のほか、燃えにくいので防火用にもなる。

植える時期

4~6月が適期で、9月中旬~10月にもできる。

植える場所

日陰、潮風、大気汚染にも強く、土質もあまり選ばないので、大抵の場所で育つ。生垣仕立ての場合は30~50cm間隔にして植え付ける。

剪定の時期

3~4月、6~7月、9~10月

整枝・剪定方法

ひこばえが出やすいので、毎年根際から切り捨てるようにする。春の剪定では間引きをして通風をよくして、枝先を切り詰めて分枝させ、整枝する。

枝が長くなりすぎると風や雪で折れやすくなるので、あまり伸ばさないようにする。

初夏と秋の剪定では、徒長枝などの樹形を乱す枝を切除する程度にするが、円錐形などに仕立てるときは、秋に刈り込むと比較的長く樹形を保つ。

生垣は春の剪定期に上面を強く刈り込み、側面は木バサミで葉の付け根から切る。刈り込みバサミで切ると葉先が一時的にきたなくなる。

生垣の場合も毎年秋の剪定で刈り込み、樹形を整えると長く保つだろう。

肥料

鶏糞や化成肥料をスコップ1~2杯、寒肥として施す。

病害虫対策

早春から7月にかけてサンゴジュハムシが発生し葉を食害する。見つけ次第スミチオン乳剤の1000倍液を散布して駆除する。

ゲッケイジュ

クスノキ科 ゲッケイジュ 月桂樹

ゲッケイジュ

樹の性質・種類

地中海沿岸が原産地の常緑広葉高木で、肉料理の香辛料として有名。

濃緑色で長円形の厚い葉は艶があり、成長が早く、萌芽力が強いので刈り込みにも耐え、庭木としてもよく利用されている。

暖地性の木なので、関東以北では育ちにくいのが難点。

樹形

自然な長円形に仕立てるのが一般的だが、円柱形、円筒形などにも刈り込んで仕立てることができる。

植える時期

4~6月が適期。

植える場所

寒さに弱いため、日当たりの良い肥沃な場所が適地。しかし、土質の乾燥のしすぎを嫌うので、ある程度湿気のあるほうが向いている。

剪定の時期

2~3月、7月上旬~8月上旬、10~11月の年3回ぐらい行う。

整枝・剪定方法

長円形仕立ては2メートルぐらいになるまで、2~3回芯を摘み、側枝を出させておく。

4~9月に基本的に仕立て、年に3回刈り込んで樹形を作り上げていく。樹形によっては目的の高さで主幹を切り詰める。

肥料

2月頃に鶏糞をスコップ1~2杯か粒状化成肥料を2~3握り、寒肥として与える程度でよい。

病害虫対策

カイガラムシ、ハマキガ、ツノロウムシが発生するので、オルトラン水和剤かサリチオン乳剤の1000倍液を散布して駆除する。

イヌツゲ

モチノキ科 イヌツゲ 犬黄楊

イヌツゲ

樹の性質・種類

関東以南の山野に自生している常緑広葉中高木。枝が柔軟で葉が密集しているため曲げ物に仕立てやすいこともあり、庭木として多く利用されている。

イヌツゲはツゲ科のツゲとは別科の木だが、見た目や性質も似ており、同じように仕立てられる。

しかし、ツゲに比較してイヌツゲは耐寒性が強いので、ツゲが育たない関東以北でも庭木にすることができる。

イヌツゲの変種で、葉の丸くなるマメツゲは低木性なので、玉ものによく仕立てられる。

イヌツゲは生育期に上へ成長し、ある程度育つと横に広がる性質があるので、仕立てるときは、この性質を知っておくとよい。

樹形

庭木の中でイヌツゲほど自由に形を作ることができる木はない。

それだけに樹形も多く、直幹、曲幹仕立て、散らし玉仕立て、玉仕立て、球形仕立て、円筒仕立て、生垣にして上部をトピアリーにすることができる。

植える時期

根を整えてある植木屋さんのものだったら、関東以南なら春から秋までいつでも植えられるが、根の未整理な山堀り苗は、6月下旬~7月中旬でないと活着しにくいので、この期間に植えるようにする。

植える場所

日当たりの良い、肥沃な場所が適地。やせ地だと、葉が落ちてしまう。植え穴を大きめに掘り、堆肥を十分にすき込んでおく。

樹高のあるものは、支柱を立て風などで動かないように固定してやる。

剪定の時期

3~4月、6~7月、10~12月

整枝・剪定方法

樹勢が強く萌芽力も強いので、枝葉をあまり伸ばさないで、頻繁に刈り込んでやる。伸ばしすぎて樹形が崩れそうになったら、思い切って強く切り戻して新芽を吹かせ、仕立て直してやるとよい。

植え付け後、すぐにでも仕立て始められるが、できれば定植後1~2年育て、根をしっかり晴らせてからのほうが安全。

萌芽力の強い6~7月が仕立ての適期で、目的の樹形に合わせて整枝する。

肥料

株のまわりに浅い溝を掘り、堆肥、鶏糞、化成肥料などを年に2~3回、スコップ1~2杯すき込んでやる。

病害虫対策

ハマキムシが発生したらスミチオン乳剤の1000倍液を散布し、カイガラムシの予防に冬季マシン油乳剤の10倍液を散布する。

アオキ

ミズキ科 アオキ 青木

アオキ

樹の性質・種類

四国、九州の山地に自生する常緑広葉低木。雌雄異体で、雌木には実がなり、青から紅さらに紅紫と色を変え、春まで楽しめる。
葉は光沢があり、寒さや大気汚染にも強いので、大都市でも十分育つだろう。

樹形

自然形か、自然に近い球状に仕立てる。

植える時期

四月中旬から七月下旬までなら活着するが、梅雨時が適期だ。

植える場所

日陰か半日陰で多湿気味の場所が適地。乾燥しやすい場所に植えるときは、植え穴を大きくして堆肥を多く入れ、土の水分を保ちやすいようにする。
また、斑入りの種の場合は、やや日当たりの良いほうが、斑の出が良くなる。

剪定の時期

春先の4~5月と、秋に行う。

整枝・剪定方法

5~6月になると、自然に古葉が落ちる。成長の遅い木なので、強い刈り込みを避け、とび枝や枯れ枝、内側の混みすぎた細枝を切る程度にする。
また、古くなり、育ちの悪くなった枝は切るが、中間で切ると、残った枝先が枯れるので、必ず節元から切りとる。

肥料

一般的には必要ないが、特に土がやせている場合は、根元に化成肥料を一握りぐらい与えるとよいだろう。

病害虫対策

カイガラムシがつきやすいので、予防にはマラソン乳剤1000倍液を、駆除にはマシン油乳剤か石灰硫黄合剤を散布する。
また炭素病が出たら病葉を焼き捨て、ダコニール水和剤を全体に散布する。